2007.10.21 19th 尾崎 徹

♪コラム 演奏会の価値について



『今度の演奏会は招待だから』とか『有料だから』などとよく聞くことがある。まさか有料か無料かで演奏者は出来具合を調整しているわけではないだろうけど、少なからず無意識にそういった気持ちの左右が働くのは否めないかもしれない。

 

例えば『タダなんだから…』という演奏側の甘えである。それはタダ かもしれないけれど来場者は自分の大切な時間を半日くらい割いて聴きに来てくれるわけで電車賃だってかかるだろうし相応の出費をするのだから結局タダで聴 ける演奏会なんて無いわけで、むしろどのくらい出費するかは自宅と演奏会会場の交通距離に比例する。

 

仮に何が何でも聴きたい演奏会が大阪辺りで在れば聴き にいくかもしれないし、聴きたくもない演奏会なら隣駅だったとしても行かないだろう。その足を運んでも聴いてみたい理由の一番はやはり知っている人が出演 するからだろうし、2番目は知っているあるいは興味ある曲を演奏するからということになるかもしれない。詰まりは自分にかかわり無い演奏会はその人にとって何の価値もないということになる。

 

一方、ではチケット代はいくらが適切だろうか。五千円なら知り合いの演奏会でもちょっと退くし仮に三百円なら何でタダ にしないのと思ってしまう。個人差もあるだろうが相場は二千円前後といいところか…。

 

ではどうやってその額を決めるのが適切か?一つにはその演奏会にかか る費用÷席数という算出方法もあるだろうし、プロならそれに自分への報酬分を乗せるだろう。広い会場なら単価は安くなるし狭い会場だったら高くしないと持 ち出しになる。

 

広いほうが有利だが集客出来るかが問題となる。人気のある曲や有名な人が出るなら高くしても何ら問題はない。では高いチケットをタダであげ るとどうなるか…

当日大雨が降ったら来ない確率は格段に高くなる。仮に5千円のチケットをタダであげたとしたら貰った方からすればその価値は0円、5百円 で渡したならそれ以上の期待価値がそのチケットにもたらされる。つまり多少の雨天でもその人は演奏会場まで来るだろう。

 

という訳で私達は自らの行為でその 演奏会の価値を下げてはいないだろうか。そして本来はいくらのチケットを渡そうが渡すまいが演奏の出来不出来に差を付けてはならないものであり、それに よって演奏会自体の価値を下げることはやってはいけないことなのである。だから私達は来てくれる聴衆の為にいつも全力投球でありたい。