☆土の歌、その音楽の深遠1 19期尾崎 徹

『土の歌』その冒頭の音階について先日触れてみましたが、歌が始まってからの音楽も極めて解りやすくそして謎めいている。

まず最初の楽節メロディ部分をピアノの黒鍵だけで弾いてみると98パーセント弾くことが可能である、日本の陽旋法を使っているからであり、しかしただ1音弾くことができない音により僅かに西洋音楽を匂わす…山田耕作か信時潔と言った辺りの作風をこの曲で感じ取れるのであろうが、一方、有名なチャイコフスキーの交響曲『悲愴』(第六番)1楽章のメロディを黒鍵だけで弾いてみると同様に1音だけを除いて完全に弾くことができる、しかもその1音は『土の歌』と同じ音であることが解る。音階を素晴らしいメロディとして自在に操るチャイコフスキーそのものの音楽に非常に似ているのであり、だからこれは西洋の音楽とも言えるのであり、その2面性を兼ね備えたままカンタータは進んでいく…。

さて第1曲のサビの部分の特徴は何かといえば、目まぐるしく変わる調性、1小節毎に変化する色合いはモーツアルトの後期作品のワルツに似ている。音楽の経過でそのたびに空気が変化していくのである。四季を感じる瞬間でもある。

土の歌第2曲は、発祥と拡散を読み取ることができる。全体的にマーチで進み、ときにハチャトゥリアンの剣の舞を思わせるような雰囲気の中、時にはエキゾチックな旋律(文明の発祥でもあるエジプトかアラビアの音楽にも似て…)を経てフィナーレに突入していく威勢の良い曲である。この威勢は破滅へと向かう行進曲か、または偉人達の焦りか…。すべてはいずれにしてもどうあがこうと第3曲へ進むのである。