『土の歌』に寄せて   19期 尾崎 徹

 

まず前奏のピアノで下降していく音型に注目してみよう…ドシラソと豊かに下る自然な営みに聞こえる安定した音型は、私達が土に生まれ土へと帰る摂理の表れであろう。

この音型はしかも随所に出てくる、また、半音の下降音型も表れるがこれは苛酷な中での祈りのテーマとして扱われている。土のなかに埋もれていくことを抵抗するかのような天に向かう祈りとして随所に出てくる。

そしてこのカンタータは色々な作曲家の音楽が顔を出す。ベートーベンだったりブラームスだったり、マーラーだったり、ある時は山田耕作だったり、もう入り交じった音楽が、寄せ集めでなく整然と並んでいて心地よい。

何といっても終曲の荘厳さには適わないかもしれないが、中盤のモグラの歌…モグラの憂欝と、モグラになれない私達、このモグラの曲に現代の私達が投影されているように思える。

そして、やはり終曲は愚かな人間達を含めて総てを包み込む神々しい音楽が私達に安息と警鐘を与えているのである。

土の歌を通して、私達は再びあるべき摂理に身を委ねて音楽に浸ることも必要であろう。